レクチンの歴史 Part1 ~発見から糖鎖認識の解明まで~

レクチン
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私が研究している「レクチン」。この言葉を聞いたことがある人は、あまり多くないかもしれません。実は私自身も、研究室に配属されるまではレクチンについて詳しく知りませんでした。

しかし、レクチンはとても興味深いタンパク質です。近年では新型コロナウイルスなどの感染症研究や、抗がん作用に関する研究など、さまざまな分野で注目されています。

そんなレクチンですが、その歴史は100年以上前にさかのぼります。

レクチン(lectin)という名称は、ラテン語の legere(選ぶ、選択する)に由来しています。その名の通り、レクチンは特定の糖鎖を認識して結合するタンパク質です。

レクチン研究の始まりは1888年。ロシアの研究者 Peter Hermann Stillmark が、トウゴマ(ヒマ)の種子から赤血球を凝集させるタンパク質を発見しました。このタンパク質は後に Ricinus communis agglutinin(RCA) と呼ばれるようになり、レクチン研究の原点となりました。

この発見は、後の免疫学の発展にも大きな影響を与えます。免疫学者 Paul Ehrlich は、少量のRCAを繰り返しマウスに投与することで毒素に対する抵抗性が生じることを示しました。さらに、その抵抗性が子へ受け継がれることも明らかにし、抗体の特異性や免疫記憶といった概念の基礎を築きました。

1919年には、James B. Sumner がジャックビーンから Concanavalin A(Con A) を単離しました。その後、Con Aによる赤血球凝集がショ糖によって阻害されることが発見され、「レクチンは細胞表面の糖と結合しているのではないか」という考え方が生まれます。

この発見は、現在の糖鎖生物学へとつながる大きな一歩となりました。

さらに1960年には、Peter C. Nowell がフィトヘマグルチニン(PHA)にリンパ球の増殖を促進する作用があることを発見しました。この成果によってリンパ球の培養が可能となり、免疫学研究は大きく発展しました。

こうしてレクチンは、単なる「赤血球を固めるタンパク質」から、「糖鎖を認識して生体機能を制御する分子」として理解されるようになっていったのです。

次回のPart2では、がん研究や哺乳類レクチンの発見、そして現在のレクチン研究へとつながる発展の歴史を紹介したいと思います。

レクチンについてもっと詳しく知りたいな~と思った方はぜひこちらのサイトもご覧ください。私もこちらのサイトを参考に日々勉強しています。

VL_LIT3003_Lectin_Glyco_Guide.pdf

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