レクチンの研究室に配属されてから3か月が経ちました。配属前は、レクチンも糖鎖もほとんど知識がなく、まずは「Essentials of Glycobiology (4th edition)」を通して糖鎖そのものを学ぶところからスタートしました。
糖鎖とは、糖が鎖状につながった構造のことで、細胞表面や分泌タンパク質などに広く存在しています。そしてレクチンは、こうした糖鎖を特異的に認識して結合するタンパク質です。言い換えると、糖鎖の情報を「読む」役割を担っている分子がレクチンです。
分子生物学では長い間、「DNA→RNA→タンパク質」という考え方が研究の中心でした。そのため糖鎖は、エネルギー源や構造成分としての役割が主に注目され、情報分子としての重要性はあまり評価されてきませんでした。特に1970年代の分子生物学革命の中で、糖鎖研究は構造の複雑さや解析の難しさから、大きく遅れをとっていました。
しかし1980年代後半以降、糖鎖解析技術やレクチンを利用した研究手法の発展によって、糖鎖が細胞間認識、発生、免疫、病原体との相互作用などに深く関わっていることが明らかになってきました。ここで、糖鎖を「見分ける」分子としてレクチンの重要性も一気に高まります。
現在では、糖鎖生物学は基礎研究から医療・バイオテクノロジーまで幅広く関わる分野となり、レクチンは糖鎖の機能を理解するための重要なツールであり、研究対象そのものでもあります。糖鎖という“見えにくい情報”を読み解く鍵が、レクチンだと感じています。
次回は糖鎖とは何かを具体的に説明できればと思っております。 ご視聴ありがとうございました。またお会いしましょう!

